ショッカーが組織されるまで

 
 世界征服を狙う悪の秘密結社。仮面ライダー放映時にはすでに組織はできあがっていましたが、ショッカーの首領は
いかにして組織を作り上げていったのでしょう。                               
 ショッカー首領は宇宙から来たことが仮面ライダーストロンガーで明かされています。彼がいつ頃地球に来たかは不
明ですが、疑問は彼が地球で最初に作った組織が何だったかです。推測するにそれはデルザー軍団だったのではないで
しょうか。彼自身、自分をデルザー軍団の大首領と言っていますから。でも、もしそうなら何故彼はデルザー軍団で行
動を開始しなかったのでしょう。仮面ライダーが一人しかいない時にデルザー軍団が行動を開始しておれば間違いなく
世界征服は達成されていたでしょう。                                    
 首領にデルザー軍団の起用を断念させた理由。それは軍団内のまとまりの悪さにあったのではないでしょうか。彼ら
には大幹部のような絶対的統率権を持つ存在がいないからです。強権を発動できる存在としてマシーン大元帥がいます
が、彼は他の組織の幹部と異なり軍団内のまとめ役にすぎないと推測しています。そこんところの考察は後の機会とし
たいと思います。                                             
 デルザー軍団を諦めた首領はそれに代わる御しやすい組織の立ち上げに手を染めたと思います。しかし、一人では組
織はできません。組織を構成するメンバーをまず捜さなければなりません。彼が目をつけたのはナチスドイツでした。
仮面ライダーでも改造人間はナチスドイツで研究されていたと言っていましたから。改造技術はすでにデルザー軍団の
魔人たちに施されていましたから、人間をいかにしてパワーアップさせるかではなく、改造技術をいかにして人間にも
施せるようにするかの研究がなされていたと思われます。そして、完成したのが人間に動植物の特徴を持たせた改造人
間でした。デルザー軍団の改造魔人と異なり人間に動植物の力をプラスさせたのです。こうして改造魔人のような力は
無いけれど統率しやすい改造人間が誕生したのでした。                            
 1945年になってナチスの敗勢が確実となると、首領と改造技術に関係する人たちはドイツを脱出します。といっ
ても他のナチス関係者のようにオデッサの援助で南米に逃げたのではなく、自分達の力だけで逃げたと思います。この
時、首領と供に逃亡した人数はわかりませんが、既にゾル大佐や死神博士といった後に大幹部となるメンバーはいたそ
うです。                                                 
 ナチスという支援者を失った彼らはまず何よりも自分たちの生活を考える必要がありました。この時点での彼らは力
不足で世界征服どころではなかったでしょう。まず、拠点となるアジトを造らればなりません。それも、絶対に見つか
らない場所で誰にも気付かれずにです。しかも、何といっても世界征服が目的ですから世界各地にアジトを建設する必
要が有ります。アジトが増えればメンバーも増員しなければなりません。怪人だけでなく戦闘員も改造人間らしいので
組織の構成員のほとんどに改造手術を施さなければなりません。人間を改造するのですから相当の費用がかかったこと
でしょう。そう、彼等がまず始めたのはアジトの建設と構成員の増員に資金の調達でした。この頃に組織の名もショッ
カーと決められたと思います。                                       
 
 
 悪の組織を作るのはどんなに苦労するか推測してみましょう。まず、アジトの建設。前述したようにアジトは前人未
踏の地に建設することになります。特に本部は絶対に見つかってはいけませんから。しかし、世界中どこにでも人の手
は行き届いていますから、そのような地を探すのは苦労するでしょう。で、発見できたとしても当然そういう場所はイ
ンフラが整備されてませんから建設資材の運搬も下手すれば途中から人手でということになります。トラックが行き来
しやすいように森林を伐採して道路を整備するなんてできませんから。言うまでも無くヘリや航空機みたいな発見され
やすい運搬方法は論外です。それでようやく建設資材が揃っても、大型の建設用機械は持ち込めないと見た方が自然で
これまた人力に頼る部分が大きいと思います。また、建設中を見つかってはいけないので航空機が上空を通過したらす
ぐに隠せるようカモフラージュも考える必要(人工衛星が実用化されていたら当然それからも)があります。ですから
完成するのにかなり時間がかかったことでしょう。                              
 次に人員の確保。アジトの建設にはかなりの人手が必要であることはわかっていただけると思います。しかし、誰が
好き好んで超重労働をしたがります?また、構成員は将来世界征服の尖兵となる大事な手駒です。それを初っ端から消
耗させていたら世界征服どころではありません。そこでショッカーは労働用の人員を別に確保することになったと思い
ます。世界に目を向ければ貧困でどんな仕事でもしたいという人間は沢山います。そういった連中を騙くらかして連れ
てきたのでしょう。勿論、給料なんか払いません。完成するまで休ませもしません。そして、完成したら口封じに皆殺
しにしたでしょう。しかし、仮面ライダー本編にもあるように労働者が脱走した時も多々あったでしょう。一人でも逃
げられたらアジトも組織も秘密が暴露されるので警戒は厳重だったはずです。改造人間が警備していた可能性もありま
す。                                                   
 アジトが次々と建設されていくと構成員も増やしていく必要があります。これは労働者の場合と異なり、ショッカー
がどのような組織であるかを理解させたうえで自分の意思で来させなければなりません。しかし、そんな得体の知れな
い組織に入りたがる奴はろくな人間がいないと考えた方がいいでしょう。そんな連中で愛情をもって統率するなんてシ
ョッカーにはできませんから、ここで脳改造という手段が大々的に使われたと思います。             
 最後に資金。アジトを建設するにも人員を確保するにも構成員全員に脳改造を施すにも膨大な資金が費やされたこと
は容易に想像できます。ショッカーはどのようにして資金を確保したのでしょう。まさか、首領以下がアルバイトして
せっせと蓄えたとは思えませんし、得たいの知れない団体に銀行が融資するとも思えません。まあ、銀行強盗とかして
稼いだのでしょう。富豪の支援者もいたかもしれません。ショッカーは本当に苦労して組織を拡大させたのです。地獄
大使があれだけ組織に忠実だったのも苦労してきたからでしょう。                       
 ナチスの崩壊から26年。ようやくにしてショッカーは世界征服を狙えるにまで成長することができました。首領も
目的の達成を確信していたことでしょう。ところが予期せぬ事態が起こります。改造手術を受けて脳改造を施される寸
前の本郷猛が逃走したのです。こうした事態は過去にも何度も起こっていたでしょう。しかし、この事件でショッカー
の、そして首領の運命は大きく変わったのでした。                              
 
 
 
 
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